造形教室
1968年から精神科病院内で創始、継続されてきた安彦講平の主宰する〈造形教室〉。
当時としては画期的だった完全開放制の「丘の上病院」でおこなわれていた〈造形教室〉の活動を引き継ぐ形で、当院では1995年から開かれています。院内に専用のスペース(アトリエ)をもうけ、「治療」や「教育」といった、上から与えられ、課せられ、外から評価、解釈されるものではなく、それぞれが表現活動の主体となって自由に描き、身をもった自己表現の体験を通して、その人その人の内に潜在する可能性を引き出し、もう一人の自分と出会い、自らを“癒し”支えていく「営みの場」を目指し、試行し続けています。
“癒し"としての自己表現展
1992年以来、作品発表の「場」として〈造形教室〉のメンバーが自主的に準備や展示、運営をおこない、毎年開催してきた「“癒し”としての自己表現展」。“街の中で作品展を”という意図のもとに始められた本展は、毎回、多くの方が訪れ、病気や障害を持つものへの理解や同情といった多数者の立場、段差を超え、それぞれが自分自身の生き方を見つめ直す場となっています。
ドキュメンタリー映画「破片のきらめき ー心の杖として鏡としてー」
2005年、平川病院〈造形教室〉の活動を記録したドキュメンタリー映画『心の杖として鏡として』(カラー・60分 平成17年度文化庁映画賞文化記録映画優秀賞受賞)が完成。後に『破片のきらめきー心の杖として鏡としてー』(撮影、監督・高橋愼二/カラー・80分/フランス「第14回ヴズール国際映画祭」ドキュメンタリ部門最優秀賞受賞)に再編集され、国内外の各地で上映会が開催されています。
担当スタッフ紹介
- 安彦 講平(あびこ こうへい)
- 1936年、岩手県生まれ.東京足立病院、丘の上病院、平川病院、袋田病院等の精神科病院にて〈造形教室〉を主宰。創設以来、「治療」や「教育」といった、上から与えられ、課せられ、外から評価・解釈されるものではなく、それぞれが表現活動の主体となって自由に描き、身をもった自己表現の体験を通して、その人その人の内に潜在している可能性を引き出し、もう一人の自分と出会い、自らを“癒し”支えていく「営みの場」を目指し、試行し続けている。
- 宇野 学(うの まなぶ)
- 1973年、北海道生まれ。東京芸術大学の大学院生のときに平川病院〈造形教室〉と出会い、病んでいると言われる表現者たちの作品と、その自由で創造的な場の空気に衝撃と感銘を受ける。ここにこそ自分が追い求めてきた真の芸術があると確信しボランティアとして通い続け、現在はスタッフとして〈造形教室〉を切り盛りしている。
展覧会の予定
- 2021年12月8~12日
八王子市芸術文化会館「いちょうホール」第1展示室にて、「第27回“癒し”としての自己表現展」を開催予定。
作品紹介
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ゴミ箱 江中裕子
コラージュ
54.3×38.2㎝ 2019年
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上機嫌な悪魔 佐藤由幸
鉛筆
77.6×53.2㎝ 2019年
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リンゴの頬で上を向く 石倉真理
ペン、水彩
54.3×38.2㎝ 2019年
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